東京に戻ってきてからいつでも会えると思っていたまま、コロナ禍に見舞われてなかなか会うことが叶わなかった友人より、また遠方に行くことになったという連絡があった。この状況下だと私から会いに行くよりも、友人が東京に戻る方が容易だと思われる。まあ、話したくなった時はオンラインミーティングを開催すればよいわけで、そういう意味で物理的な距離はあまり関係ないのかもしれない。

それでもやはり出発前に会って話をしておきたくて、せっかくだからハンガリー料理を食べに行こうということになり、お互いの自宅からのアクセスを考慮した結果、明治神宮前の「AZ Finom(アズ・フィノム)」で待ち合わせることになった。そのレストランがかつてハンガリー政府の依頼により、ハンガリー料理を広めるために誕生したという話は聞いていたのだけど、訪れるのは初めてだ。

地下鉄の明治神宮前駅を降りると、表参道はかなり混雑していた。普段他人とほとんど会わない生活をしているので、一度に夥しい数の人が視界に入ってきて、軽くめまいを起こしそうになったくらいだった。その多くは20代とおぼしき若者で、彼らが発する力強いエネルギーにも圧倒された。
逃げるように早足で目的地へ。

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15分ほど北に進むと喧騒は落ち着いてきて、瀟洒な建物が並ぶ一帯にお店の入口を発見した。

地下1階に降りて中に入ると、洗練された家具・調度品が配された落ち着いた雰囲気の空間が広がっていた。

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カウンター内には、ブダペスト在住時代に愛飲していたワインのボトルがずらり。ちなみに関連会社がオンラインのワインショップを運営していて、そちらで購入できるとのことだ。

スープ付きのランチセットを注文し、まずは前菜のサラダからいただいた。

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そして、スープはハンガリー名物のグヤーシュレヴェシュ(gulyásleves)。懐かしい味がした。

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メインには「ハンガリー風チキンロール」、つまりはパプリカチキンを選んだ。

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私が普段作るパプリカチキンとは別の料理かのような、美しい盛り付けに心が思わず奪われた。付け合わせのガルシュカも四角い形に固められていて、まるで芸術作品のような仕上がりだった。


友人との話に盛り上がりながら、あっというまに食後の紅茶。

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テーブルウエアがジョルナイ(Zsolnay)のもので、贅沢な時間をさらに彩ってくれた。


さすがに竹下通りを歩くのは避けたけれども、明治通りと表参道の途方もない喧騒を抜けながら原宿駅へ。
友人の背中を見送りながら、今度再会する時までには私も何かを成し遂げたいと切に思った。