ウクライナのザカルパッチャ州は第一次世界大戦以前までハンガリーに属していた地域で、今もなおハンガリー系住民が少なからず居住している。そして、ウジホロド(Ужгород)「ウングヴァール(Ungvár)」ムカチェヴォ(Мукачево)「ムンカーチ(Munkács)」ベレホヴェ(Берегове)「ベレグサース(Beregszász)」と街にはそれぞれハンガリー語名があり、絶賛ハンガリー語学習中の身としては両方の名を記憶するにあたり、かなり混乱もした。


ウジホロド城(Ужгородський замок)セレドニャンスキー城(Середня́нський за́мок)ネヴィツキー城(Невицький замок)と連日古城を訪れ、3日目はウジホロドから南東に約100kmのヴィノフラディフ(Виноградів)へ。ハンガリーとルーマニアとの国境に近く、ハンガリー語ではナジセーレーシュ(Nagyszőlős)という。これは「大きなブドウ園」という意味で、その名の通り多くの民家の庭にブドウが栽培されているのが見えた。ちなみにこのハンガリー語の"ő"という母音と"l"との組み合わせが私にはとても発音しにくくて、ワイン好きとしてはとっても重要な単語なのに、なかなか上手くいうことができないのが悩みである。


ナビに従って、この街でぜひ見ておきたかった「ヴィノフラディフスキー城(Виногра́дівський замок)」に到着。別名を「カンキフ城(Замок Канків ※ハンガリー語:Kankó-vár)」といい、また、この街がかつてハンガリー王国時代ウゴチャ州の州都だったこともあり、「ウゴチャ城(※ハンガリー語:Ugocsavár)」とも呼ばれていた時代もある。

ところで。

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この写真の特に右の方で何かに気づいた方がいらっしゃるかもしれない。実際私はすぐに気づいた。

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なんとヤギに出迎えられた。セレドニャンスキー城(Середня́нський за́мок)ではだったけど、今度はヤギだった。

あまりにのびのびと草を食べている様子が可愛らしくて、動画にも撮ってみた。



文字通り、草食べ放題


この城について最初に公文書に記載されたのは1308年のことだが、ハンガリー王カーロイ・ローベルト(Károly Róbert)に破壊されたのちに再建、15世紀にはフランシスコ会の所有となり、教会としての役割を担った。

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「黒い山」の意味を持つチョルナ山(Чорна Гора)の中腹にあり、眺めも最高だった。

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1557〜1558年頃には破壊され、すっかり廃墟となってしまってわかりにくくなっているのだけど、チャペルもあったそうだ。

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そして、そこから山をほんの少しだけ登ると、現役の礼拝所があった。

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その隣りの広大な敷地には、フランシスコ会の修道院があったそうだ。

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写真だとわかりにくいが、その跡がわずかに残っていた。


車に戻って地図を見ると、すぐ近くにもうひとつお城がある様子。次の目的地に向かう前に、ちょっとだけ寄ってみることにした。