ジャンベーク(Zsámbék)を後にして南に進み、ブダペスト近郊でも名高いワイン郷エチェク(Etyek)に到着。事前にネットで調べていたワイナリー「ドゥヴォラーク・ヴェンデーグウドヴァール」(Dvorák Vendégudvár)を目指した。そして、これはジャンベーク(Zsámbék)に着いた時からだったのだけど、スノーブーツを履いて来なかったことを激しく後悔した。ブダペストからほんの30kmほど離れているだけなのに、起伏の多い地形のこのあたりにはまだまだ雪国の趣だった。


坂を登って左折してすぐのところで発見。建物の中が賑わっている様子が外にまで伝わってきた。

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それにしても建物の中はかなり盛り上がっている様子だったので、空席があるのかを外にいるスタッフに質問したところ、店主とおぼしき男性が登場。そこで、豚の解体(disznóvágás)の予約している団体客がいるため、彼らが注文した豚肉のスープ豚肉のローストしか提供できないと申し訳なさそうに伝えられた。だけど新鮮な豚肉料理を食べられる機会なんてそうそうないから、私たちとしてはむしろラッキーだったのだ。そのまま中に入って、大盛況のグループの隣のテーブルへ。この後の運転は友人に託すことにして、さっそく自家製の白ワインを注文した。

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まもなくしてどどーんと豚肉のスープがやってきた。2人分のはずなのにこのボリューム。これだけでおそらく4人分くらいあったし、しかも「おかわり自由」とのことだった。骨ごとの豚肉と、ニンジンやタマネギ、キャベツなど野菜もたっぷり入っていた。

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ひと口そのスープを口にした瞬間に寒さが吹き飛んだだけでなく、世界が変わった。野菜と豚肉の全ての素材そのままの旨味が、文字通りにぎゅっと詰まっているのを舌先だけで充分に感じられた。そして飲み込むたびにその美味しさが喉から胃にかけて伝わっていくのが、なんともいえない快感だった。こんなに美味しいスープを食べたのは初めての経験だったと確信している。


スープを食べながら、隣の団体客から話しかけられたりもした。どうやら結婚を間近にした男性のお誕生日パーティーとのこと。小さな店内のうち20人ほどはそのお祝いに集まった団体客だが、私たちの反対側のテーブルもたまたま訪れていた客らしい。彼らも含めて、店内全体がお祝いモードになっていて、寒さも吹き飛ぶ熱気に包まれていた。そして、メインの豚肉のローストも到着。

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付け合わせは摂取カロリーを考慮して紫キャベツに選んだのだけど、ポテトも選べた。豚肉はリンゴと生姜とニンニクで味つけられていて、肉質も柔らかかったこともあり、極上の味わいだった。おそらく解体直後で新鮮だったからこそ味わえたのだろう。一口ひと口じっくり堪能した。


そんな間も団体客のパーティーは盛り上がり、なんと私にまでパーリンカ(pálinka)が振る舞われた。

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どうやら団体客のうちの誰かの自家製のものだったらしい。それにしてもこういうハンガリーでの生活ならではのハプニング、久しぶりに体験できてとても嬉しかった。


そろそろ会計を済ませて店を出ようとしたところ、スタッフから自家製サラミと、

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自家製の生ハムの差し入れがあった。

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あまりに美味しすぎてどんどん白ワインも進み、当初私の分グラス1杯の予定が、1人でデカンタ半分くらいを空けてしまった。しかも残りの白ワインも持ち帰らせていただけることなったうえに、会計は1人約4,000フォリント。これはもっと暖かい季節にまた気合を入れて再訪するという正当な理由となった。


今回は団体客の予約があったために特別メニューとなったのだが、そうでない日のメニューもバリエーション豊かの様子。自分の誕生日パーティーの際も貸切したいと思ったくらいだ。まあ、それはなかなか難しいと思われるので、せめて少人数でだけでも再訪して、また美味しいワインと料理をとことん堪能してみたい。そう願っている。