ドナウの東か、遥かもっと東から

2016年7月末よりハンガリーのブダペストで生活し、2019年8月末より東京へ。毎日が新しい発見の連続です。

2019年03月

「ハンガリーの価値を代表するもの」として、「フンガリクム(Hunarikum)」にも指定されている、エゲル(Eger)名産の赤ワイン「エグリ・ビカヴェール(Egri Bikavér)」。直訳すると「雄牛の血」という意味で、その独特の深みのある味わいは私も大好きだ。そんな中スーパーで買い物していたら、ふと同じ名前が付いたパーリンカ(pálinka)を発見。パーリンカなのになぜに「エグリ・ビカヴェール」!? そして、赤ワインが連想できないくらいの透明感


というわけで、迷わず購入してみた。

IMG_0540


あとで調べてみたところ、実際に「エグリ・ビカヴェール」を醸造した後にできたブドウの残りカスを蒸留して製造されたものとのことだった。そして、このような製法で作られるパーリンカを「テルケイパーリンカ(törkölypálinka)」というそうだ。ちなみにこの製法でできた蒸留酒を日本語では「粕取りブランデー」、または英語にちなんで「ポマース・ブランデー(Pomace brandy)」と呼ばれている。


蒸留されたあとなので、ブドウの風味は(私の舌では)ほとんど感じられなかったのだけど、スッキリとしていながらも複雑に残る後味が特徴的だった。気になるアルコール度数はなんと40%。やはり飲み過ぎ注意だ。

特別な予定がない土曜日の午前中は、だいたい12区の有機食品市場「ビオ・ピアツ(BIO PIAC)」で1週間分の野菜をまとめ買い。


いつもよく訪れている、緑野菜を豊富に取り揃えているお店で、「ミズナ?」という声が聞こえた。お客さんが瑞々しい青菜を手に、お店の人に質問している様子だった。

FullSizeRender

それは確かに「ミズナ(水菜)」だった。念のためお店の人に確認したところ、やはりミズナだった。


ついでに「ブダエルシ・ハルピアツ(Budaörsi Halpiac)」にも足を運び、生食用の鮭も購入。

IMG_0545

カルパッチョにして、最近お気に入りのトカイ地方の「マード(MÁD)」の白ワインとともに堪能した。濃厚な鮭、ちょっと苦手のミズナ、そしてキリリと辛口の白ワインの三重奏がなんとも言えない美味しさだった。


ちなみに、ちょっと欲張ってホタテも購入した。

IMG_0547

こちらは生食NGなので、バター醤油炒めにした。


なかなか贅沢な土曜日のおうちランチとなった。至福。





ハンガリー南部、クロアチアとの国境も近いモハーチ(Mohács)で毎年開催されているお祭り、「ブショーヤーラーシュ(Busójárás)」。実は2016年以来毎年訪れているのだけど、今年も最終日に足を運んでみることにした。


混雑を避けるため、去年と同様最終日の午後に友人たちとともにブダペストを出発。街に着くと、3ヶ国語での地名表記が出迎えてくれた。

IMG_0417

そして、「ロヴァーシュ文字(rovásírás)」でもお出迎え。

FullSizeRender


まずは昨年も訪れた「ブショーウドヴァル(Busóudvar)」へ。

IMG_0420

1年ぶりに訪れて、ちょっとだけ自分のハンガリー語力の進歩を感じたりもした。


そして、いよいよお祭りのメイン会場でもある中央広場へ。ちょっと肌寒かったのでブショーをモチーフにしたカップでホットワインを飲んだ。もちろんこのカップ、自分用のお土産に持ち帰った。
 
IMG_0421


まもなくパレードが始まった。

IMG_0423

IMG_0446

最終日の疲れなのか、お面を取って素顔を晒しているブショーたちも多く見かけた。


私は私で、露店で購入したハンバーガーで腹ごしらえ。

IMG_0449

お祭りフードって、とっても美味しい。


18時より少し前にお祭りのクライマックスでもある棺を燃やすかがり火がスタート。

IMG_0451

去年も見たはずなのに、今年はまた盛大に焚かれているように見えた。ちょっと離れた場所にいてもその炎の熱さで汗かくくらいだった。

FullSizeRender


一方、ステージではブショーたちがダンスを披露していた。

IMG_0462

冬を追い払うこのお祭り、このあとの春の訪れにワクワクしながらブダペストへと戻った。また来年、かな。

実はこの日は昼間っから飲んでいたのだけど、夜はルーマニア人の友人宅でのホームパーティーに招待されていて、結構ベロベロな状態のまま一旦帰宅して荷物を置いて着替えて再び出発。あまりに繕いすぎて、結構ベロベロだったことがまったく気付かれなかったのか、到着早々ホストからルーマニアの蒸留酒、それも自家製のツイカ(Ţuica)を振る舞われた。

IMG_0369

同じようにアルコール度数の高いハンガリーのパーリンカ(pálinka)との味わいの違いもじっくり感じながら完飲した。


そのあと、ルーマニアの自家製白ワインを飲みたくて、こちらのガラス瓶よりなみなみとワイングラスに注いだところ、

IMG_0372

もう、グラスを手にしてさあ飲もうというところで、これが白ワインではないことが判明。先ほどショットグラスで飲んだツイカ(Ţuica)だった。たしかにこうして写真で見ると、白ワインにしては色がだいぶ濃い。でもその時は全然気づけなかったので、ワイングラスで少しずつ味わいながら飲んだ。


テーブルにはルーマニア料理の数々が並べられていて、もうダイエットしていることも忘れるくらいだった。例えば、名前はわからなかったのだけど、こちらの鶏レバーをベーコンで巻いた料理

FullSizeRender

ビールのおつまみにもぴったりなこと、間違いない。


そして、ほどなくして自家製のサルマーレ(Sarmale)ミティテイ(mititei)も登場。

IMG_0371

熱々のママリガ(mămăligă)もやってきて、あまりの充実さに酔いもだんだん吹っ飛んでいた。

IMG_0373


チキンのトマト焼き煮(ルーマニア料理かどうかは不明)も絶品過ぎて、ワインを片手とにかく食べまくってしまった(※もちろんお酒の力もあって、会話もものすごく弾んだ)。

FullSizeRender


帰り際、ホストである友人からルーマニアのお土産をいただいた。

IMG_0472

前に私自身がルーマニアで買って帰ったお菓子「ロム(ROM)」もあり、いかに人々に愛されているのかを知った。


そしてもうひとつ。ルーマニアでは毎年3月1日に春を祝うために「マルチショール(mărțișor)」といって、男性から女性にこのような赤と白の糸が添えられた小さな飾り物を贈る伝統があると聞いた。

IMG_0473

春はもうすぐ。こうしてブダペストにいながらも周辺諸国の文化を気軽に体験できる機会が、とても嬉しい。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエヴォ(Sarajevo)での最後の目的地は、空港近くにある「トンネル博物館(Tunel Spasa Dobrija-Butmir)」。ホテルでチェックアウトを済ませ、そのまま車で西へと向かい、普通の住宅街を走り抜け、閑散とした狭い小路をちょっと不安になりながら進むと、その建物にたどり着いた。

IMG_0091

何も知らないで来ると(まあそんなことはないと思われるけど)、周囲と同じような一軒家である。が、ちゃんと壁に看板がかかっていた。


ちなみにその隣の駐車場からは、空港の施設および滑走路がそのまま見えた。

FullSizeRender

トンネルはこの空港に隣接するDobrija地区と建物があるButmir地区までの約785.5メートルを結び、内戦下のサラエヴォ包囲時には物資の輸送に活用されたという。その後トンネルの大部分は埋められ、今はうち約25メートルが公開されている。


入場料を支払って、中へと進む。

IMG_0093


ここがトンネルへの入口だ。

IMG_0094


その前に、別のドアから展示室へと進んだ。

FullSizeRender

軍服や武器など軍隊関連品が展示されていた。もしかしたら、当時も実際に倉庫代わりになっていたのかもしれない。


そして、いよいよトンネルの中へ。

IMG_0099

トンネルの中は高さ1.5〜1.8メートルで、幅は1メートルほど。身長158センチの私でも、なかなか圧迫感があった。物資を運ぶ際にはトロッコのようなものを利用していたとのことで、その線路も残っていた。


なお、外にはお土産コーナーとビデオ上映コーナーが併設された施設があった。トンネルが実際に使われていた頃の様子や内戦時の生々しい映像を観て、当時の世界に思いを馳せた。

IMG_0100


そのまま車は北へと向かい、途中クロアチア国境に近いデルヴェンタ(Derventa)という街にあるレストランでランチ。ここがまた今まで食べたバルカン料理の中で一番美味しかったので、そのうち「本宮じゅんの欧州美食探訪記」の方で紹介したいと思う(※時期は未定)。


初めて訪れたボスニア・ヘルツェゴヴィナ。会いたい方にもお会いできたし、一言では語れない歴史に触れることができたし、美味しい料理とビールとワインを堪能することができて、とっても充実した旅行となった。また天気の良い季節にぜひ再訪したい。

↑このページのトップヘ