ドナウの東か、遥かもっと東から

2016年7月末よりハンガリーのブダペストで生活し、2019年8月末より東京へ。毎日が新しい発見の連続です。

2018年07月

ヴィシェグラード(Visegrád)を後にして、進路は西へ。ブダペストでの生活を始めてからもう何度も訪れているエステルゴム(Esztergom)へと向かった。


大聖堂は相変わらず圧巻の佇まい。

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大聖堂の裏手には、初代国王イシュトヴァーン1世がローマ教皇より戴冠される様子を象った彫像がある。西暦1000年、この戴冠式をもってハンガリー王国が誕生した。

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大聖堂の裏手からは、ドナウ川の対岸にスロヴァキアのシュトゥーロヴォ(Štúrovo)の街並みがくっきり見えた。

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せっかくなので、マーリア・ヴァレーリア橋(Mária Valéria híd)を渡って、スロヴァキアに上陸してみることにした。


スーパー「BILLA」でお買い物。暑さで何かエネルギーチャージできるものが飲みたかったので、「コフォラ(Kofola)」を購入。

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独特の味わいにすっかり回復した。


この後ブダペストに無事帰還。もうすぐ母国に帰ってしまう友人と、彼女のハンガリー滞在最後の思い出を楽しんだ。

センテンドレ(Szentendre)をあとにして、ハンガリー北部のヴィセグラード(Visegrád)に到着。ここで見たかったのは、山の上にある要塞フェッレグヴァール(Fellegvár)だ。その堂々とした姿は山のふもと、ドナウ川沿いの道を走っている間にも見えた。そういえば、前にスロヴァキアに行った電車からもこの要塞はくっきりと見えた。あまりの衝撃に、窓に張り付いて見えなくなるまでその姿を目で追っていたことを思い出した。
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くねくねとした山道を登って、駐車場に到着。気温は33℃。今の東京と比べたら低いと思われるが、それでも汗がダラダラ止まらない。


チケット売場でチケットを購入して、さらに先に進んだ。

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ほどなくして要塞に到着。城壁の向こう、眼下に広がるドナウ川の景色のあまりの美しさに、暑さもほんの少しだけ忘れることができた。

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ブダペストでは北から南へと流れているドナウ川は、ヴァーツ(Vác)付近を角に上流は西から東へと流れており、ヴィシェグラードを含むこのあたりはハンガリー語で「ドゥナカニャル(Dunakanyar)」(「ドナウの曲がり角」の意味)と呼ばれている。ガイドブックなどでは「ドナウベント」と記載されているのをよく見るのが、それはドイツ語と英語を組み合わせた造語のようだ。
ドナウ川はヴィシェグラード付近でUの字を描くように蛇行していて、カーブする様子がはっきり見えた。


要塞の周りをぐるぐる散策しながら、入口を探す。

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暑いので、日陰を探しながら、ひたすら歩く。

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結局1周まわったところで、先ほどドナウ川を眺めたあたりに入口の階段があることに気づいた。

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階段を登って要塞の中へ。中は博物館となっており、要塞の歴史や当時の生活、そして歴代の城主だった王侯貴族の紋章などが展示されていた。

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1335年にこの地でハンガリー王、ポーランド王、ボヘミア王が会談した様子を蝋人形で再現された展示も。ハンガリー、ポーランド、チェコ、スロヴァキアで構成されている地域協力機構「ヴィシェグラード4ヵ国(V4)」は、ここの起源があるとのことだ。


要塞内には、随所に拷問器具などのオブジェもあって、観光客たちが写真を撮影しながら楽しんでいた。

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さらに階段を登ると、

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広大なテラスがあった。ここでも日陰スポットは争奪戦となった。


階段を降りて、見学は終了。
 
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ちょうどお昼時だったので、近くの「ホテル・シルヴァヌス(Hotel Silvanus)」内のレストラン「パノラマ(Panorama)」でランチ。

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詳細は「本宮じゅんの欧州美食探訪記」にて別途紹介したい(※時期は未定)。


下山して次の目的地に向かう前に、マーチャーシュ王(Mátyás király)の銅像を撮影。

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逆光なのがとても残念だ。


振り返ると、山頂の要塞と、要塞と同時期に建設されたというシャラモン塔(Salamon torony)が見えた。

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そして、さらにドナウ川上流を目指して進路を西へ。まだまだ日帰り旅行は続く。


<補足>
今回車での移動だったので、難なく山頂の要塞まで行けたのだが、ブダペストから船やバスでヴィシェグラードに到着した場合、要塞およびホテル・シルヴァヌスまではCITY-BUS VESEGRÁDを利用すると便利そうだ。 

せっかく知り合ったばかりの友人がもうすぐ母国に戻ってしまうので、出発前にハンガリー最後の思い出として、ブダペスト近郊日帰り旅行を決行することにした。車を飛ばして、まずはブダペスト市内のアクインクム(Aquincum)の円形劇場跡に立ち寄った後は、一路北へ。近郊のセンテンドレ(Szentendre)に車を停めて、中心地を散歩した。


センテンドレにはもう何度も訪れているはずなのに、いつも通らない道を歩くと改めて新しい発見がある。建物の外壁の色が1軒ごとに異なっている風景に差し掛かったり、

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空中にランプの傘のようなオブジェがなびいていたり、

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外壁が剥げ落ちているだけだと思っていたら、かつての画家の肖像画を模したアートを見つけたり。

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美術館や博物館も多く点在するだけあって、町中には独特のアートが溢れている印象がある。


そして、何よりこの町で好きなのが、ドナウ川沿いのこの風景。

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ブダペストで見るドナウ川とは違った表情を見せてくれている。


この後はさらに進路を北へ。最近は、こうした日帰り旅行がとても楽しい。

7月最後の金曜日の夜は、自宅に友人・知人を招待して、まだ明るいうちからワインパーティーを開催。純粋にワインを飲み比べるのが目的だったので、軽いおつまみ程度のみ用意した。


4種のチーズと灰色牛(szürkemarha)のサラミのプレートに、

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トマトとモッツァレラのサラダ。味付けは、オリーブオイルとバルサミコ酢をかけただけのシンプルに。トッピングしたバジルはキッチンで育てているものだ。

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と、ただ材料を切って並べただけの手抜きっぷり。ほかにも市場で買ってきたピクルスなどを切って添えた。


でも、個人的に一番美味しかったのは、先日知り合ったばかりの友人が作って持ってきてくれたこちらのレンズ豆のサラダ

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白ワインビネガーがさっぱりと効いていて、暑い夏に嬉しい美味しさだった。 赤ワインとの相性もピッタリ。


さっそく翌日スーパーで白ワインビネガーと乾燥レンズ豆を買ってきた。自分でもうまく作れるといいな。

東京にいた頃はよく映画を観た。仕事の後映画館のレイトショーに行ったり、DVDをレンタルして週末自宅で観たり。お気に入りの映画はDVDを購入して、何度も何度も繰り返して観る。ちなみに感動するとうっかり泣いてしまうので、観るときはいつもひとりだ。飛行機の中で涙が止まらなくなってしまい、隣の席の人にドン引きされたこともある。そういう意味でも平日のレイトショーは人が少ないので都合が良かった。人目を気にせず涙を流せる。終わった後はマスクを付け、手で片目を隠しながら家路につく・・・なんてこともあったのだが、夜の東京にはまあいろんな人がいるので、そのうち泣き腫らした目のまま帰るようになった。


時は流れて、ブダペストでの生活を始めて2年。日本から映画のDVDもいくつか持ってきた。テレビで映画を観ることもある。でもテレビではハンガリー映画はもちろんハンガリー語。原語が英語の映画も、ハンガリー語に吹き替えられて放映される場合が多い。英語のまま放映されるものもあるが、ストーリーのすべてを理解できるほど私の英語力は高くない。そんなわけで東京にいた時ほど頻繁には映画を観なくなってしまっていた。映画館もずっと行ったことがなかった。


なんて、前置きが長くなってしまったが、ついにブダペストで映画館デビューを果たした。

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だって、日本からDVD持ってきたくらい大好きな映画「マンマ・ミーア!(Mamma Mia!)」の続編、「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー(Mamma Mia! Here We Go Again)」がハンガリーでも公開されたのだもの。言葉がわかる・わからないとかは置いておいて、とにかく観るしかない。

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足を運んだのは「プーシュキン・モズィ(Pusikin Mozi)」という映画館。外観がとても歴史的な建物の中にあるので、映画館というより歌劇場のような佇まいだ。外観だけでなく、内部もそんな雰囲気で、ちょっとだけタイムスリップした気分になった。
チケットは1,550フォリント 。窓口の女性が丁寧に対応してくれて、真ん中の席を取ってくれた。平日の昼すぎだったからか、観客はたったの5人。ほぼ貸切状態だ。


映画はハンガリー語の字幕付きの英語で上映。ハンガリー語がだいぶわかるようになったとはいえ、同時に2つの外国語を理解するのはさすがに不可能なので、字幕は時々しか見なかった。内容がどうだったのか、ネタバレしたい気持ちをぐっとこらえてここでは語らないでおく。が、やっぱり泣いた。1曲目から涙が止まらず、ずっと泣きっぱなしだった。前作が大好き、ABBAの曲が大好き、出演している俳優陣が大好き、そういうのを差っ引いても、すばらしいストーリーとパフォーマンスショーだった。まだ序盤のシーンなのに既にあと1回、いや最低あと3回は観たくなってしまった。


私の半径5m以内には誰もいなかったので、思う存分泣いてしまった。終わった後は、サングラスで目を隠して次の目的地へと向かった。余韻に浸りながら、前作が公開された10年前のことを思い出したりなんかもした。10年前、それどころか3年前は今の生活を想像さえしていなかった。きっとこれから3年後、そして10年後もそうなるのだろう。

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