ドナウの東か、遥かもっと東から

2016年7月末よりハンガリーのブダペストで生活し、2019年8月末より東京へ。毎日が新しい発見の連続です。

2016年08月

ルーマニアの国境にもセルビアの国境にも近い、ハンガリー南部の街セゲド(Szeged)
もう10回近くは訪れていて、中心部は地図なしでも歩けるし、お気に入りのカフェや居酒屋もできたくらいなのだけど、いつも車に乗せてもらって来ていたので、を訪れたのは初めてだった。




今までハンガリー国内で訪れたことのある国鉄の駅では、どこも駅舎に入るとすぐホームだったのだけど、ここセゲド駅は駅舎に入ってから日本でいう2階に上ったところにホームがある。駅舎の入口とホームが違うフロアというのは、とっても新鮮だった。


駅舎の2階部分は、まるで大学の校舎のような雰囲気。


もしくは博物館や美術館といったところかな。



セゲドは1879年ティサ川(Tisza)の増水による大規模な洪水で、街全体が壊滅的な被害に見舞われたという悲しい歴史がある。その後ヨーロッパ諸国を中心に各国からの援助を受けた結果、無事に復興を果たすことができた。
駅が完成したのは1902年のことなので、万が一の水害に備え、線路もホームも高い位置に建設したのかもしれない。


今のセゲドの街の雰囲気もティサ川の流れもとても穏やかで、かつての被害の名残はどこにも見当たらないのだけど、こういうちょっとしたところにふと感じてしまったりする。

npo-if 歴史文化交流フォーラムさん主催の「日本文化の日 in ハンガリー」では、同フォーラムの南塚信吾先生と木村英明先生の講演書道のワークショップ御神楽の奉納の他にも、日本の愛唱歌合唱、そして折り紙のワークショップを、ケチケメートセゲド2都市で開催。


折り紙のワークショップでは、私も浴衣を着ながらお手伝いした。
「カブト」「カエル」「箱」「ダリア」「鶴」などを、参加者のみなさんと一緒に折った。


一緒に作っていたために、その様子を写真に撮れなかったのだけど、作品はこんな感じ。

子供たちだけでなく老若男女かかわらず参加していただき、和気あいあいとした雰囲気の中、あっという間に時間が流れた。スタッフとして参加した私までも楽しんでしまった。
またこういうイベントができたらいいなぁ。


ちなみにケチケメートでのワークショップの様子は、現地メディア「KECSKEMÉTI TELEVÍZIÓ」でも紹介された。動画には私もちゃっかりうつりこんでいて、今回はちゃんとお手伝いしているところだったのでホッとしている。


【私信】
遅ればせながら、npo-if 歴史文化交流フォーラムのみなさん、新潟県南魚沼市一村尾のみなさん、約1週間大変お世話になりまして、本当にありがとうございました!

npo-if 歴史文化交流フォーラムさん主催の「日本文化の日 in ハンガリー」では、新潟県南魚沼市一村尾のみなさんによる御神楽の奉納も行われた。会場となったのは、ちょうど開催されていたケチケメートの(Kecskemét)お祭り「Hírös 7」のメインステージ。


新潟県南魚沼市にある若宮八幡宮に伝わる「太々御神楽」は、元々18世紀後半江戸時代に始まり、1893年明治時代に今の形になって以降、毎年9月の中旬の本大祭(※ 通常14・15日前後、2016年は17・18日に開催予定)で盛大に奉納される。32のお面を使った総数26座の御神楽は、出雲神楽伊勢神楽の要素が混ざりあっており、その舞数の多さは全国でも珍しいもので、南魚沼市指定無形民俗文化財(限定)にも認定されている。


実は私は、御神楽を実際に鑑賞したのはこの時が初めてで、つまりは日本ではなくハンガリーで初めて鑑賞するということになった。
会場は野外にもかかわらず、開演前には既に満席状態。近くを通行する人々も足を止めて見入っていた。
 

一、 祓舞(はらいまい)



祓戸大神(はらえどのおおかみ)が行き先を祓い清めて、のちに奉納される神々をお迎えするための舞で、祭礼の日に御神楽の初に奉納される基本の舞。この舞ではお面は使用しないという。


二、岩戸の舞(いわとのまい)

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天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に籠ってしまわれた時、天手力雄命(あめのぢからおのみこと)が岩戸を開き終えるまでを表した勇壮な舞。


三、日矛の舞(ひほこのまい)

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高皇産霊神(たかみむすびのかみ)が、我が国発祥の由来と神々の努力を表した舞。


四、宇賀舞(うがまい)

P1110027 のコピー

恵比寿神こと事代主命(ことしろぬしのみこと)の釣りに、手伝いの火男(ひおとこ)がお供をし、苦心の末に大鯛を釣り上げたものの獲物の奪い合いとなるが、最後は父神大国主命(おおくにぬしのみこと)が出てきて引き分けるという舞。

※各説明については、若宮八幡宮発行の「十五夜大祭」のパンフレットを参考に記載した。




太鼓と笛の音の美しい響きに合わせて舞う舞子さんの華麗な所作のひとつひとつに、すっかり心を奪われてしまった。舞子の皆さんとは食事や観光も共にしており、既に親しくさせていただいていたのだけど、舞台の上では本当に神様が舞っているように見えた。
まさにこれが後世に、世界に伝えるべき「日本文化」だと感じた。 


最後の「宇賀の舞」では、三方にお供えされていた日本のお菓子(柿の種などパッケージになっているもの)を観客に投げてお渡しする場面も。


P1110039 のコピー

実際はお菓子ではなく福餅を使うという。こうして福をおすそ分けしてもらえるのだ。


この御神楽の奉納は、ケチケメートの地元ニューサイト「HIROS.hu」でも紹介された。
また、セゲドでの奉納は、セゲドの地方テレビ局「Telin TV」セゲディ・パノラマ(Szegedi Panoráma)」という番組でも紹介。


(※39分00秒〜45分00秒のあたり。)


今年は難しいが、もし来年以降9月の中頃に日本に帰国できたら、ぜひ「十五夜大祭」を訪れてみたい。

8月22日と23日は、npo-if 歴史文化交流フォーラムさん主催の「日本文化の日 in ハンガリー」のお手伝いでケチケメート(Kecskemét)へ。


イベント内では、同フォーラムの南塚信吾先生木村英明先生の講演に続き、書道のワークショップが開催された。
会場となった「科学技術館(Tudomány És technika Ház)」のホールは、ケチケメート在住の方々であっというまにいっぱいになった。遠く離れた国の小さな街なのに、日本文化に興味のある方々がこれだけいらっしゃるというのはやはり嬉しい。


まずは漢字ひらがなカタカナの成り立ちの紹介から。



漢字は「日」はお日様の形、「月」はお月様の形、といったようにそのものをかたどってできたものを事例に、漢字をもとにひらがなになったもの、漢字をもとにカタカナになったもの、と、ひとつずつとてもわかりやすい説明に、参加者の方々も熱心に耳を傾けていた。


次に、スタッフによるデモンストレーション





さすがみなさま達筆! 一文字一文字書かれるごとに、会場も拍手に沸いた。


そしていよいよ、興味のある方には実際に体験していただくワークショップの時間。
書きたい文字を聞いてからスタッフがお手本を書き、


ご自身で筆を持って、半紙に書いていただく。



ご自身の名前カタカナ、もしくは漢字で書きたいという要望が多かった。 



または、デモンストレーションで紹介した「音」「光」「はる」といった文字も。文字の形だけでなく、それぞれの意味も印象深かったようだ。



それにしても初めてなのにもかかわらず、みなさま本当にお上手!


作品書道道具(硯、墨、墨汁、半紙、文鎮、下敷き)は、参加者の方々に持ち帰っていただいた。ご自宅でも楽しんでくれるといいな。


ワークショップの様子は、今回のイベントでも大変お世話になった「ケチケメート青森友好協会」のFacebookページでも紹介された。
で、私もちゃっかり写真にうつりこんでいたのだけど・・・


(※写真は同ページより拝借。)


この時いったい何をしていたのかは、自分でも全くわからない。右手で持ち上げているのはiPhoneなんだけどね。


スタッフのみなさま、観客のみなさま、素敵なひとときをありがとうございました!


※追記
同じイベントはセゲド(Szeged)でも開催され、その様子は現地メディアで紹介された。
ぼけーっとしているところがちゃっかりうつりこんでいた(笑)




この日もハンガリー中部のケチケメート(Kecskemét)へ。現地在住の知人に連れられて、「Kecskeméti Csárda」でランチタイム。
「ケチケメートの宿屋」という意味のお店で、約200年前からあるこの建物は、かつては食事だけではなく宿泊もできたようだ。ケチケメートは首都ブダペストと南部の都市セゲド(Szeged)とのちょうど中間地点で、どちらからも約85kmの場所にある。両都市を移動中にここで馬を休め、御者も宿泊したという。


まずはハンガリー名物の「グヤーシュ(Gulyás)」から。4人分がどどーんと大きな鍋でやってきた。



お肉も野菜もたっぷり。パプリカのスパイスがしっかり効いていて、何杯もお代わりしてしまった。
途中「これを入れると辛くなって美味しいよ〜」と言われて、パプリカの粉を投入。
 
 


このパッケージは初めて見た。パプリカの粉って甘いのも辛いのも赤色をしているのだけど、こちらは黄色〜黄土色で、全く辛そうに見えない。にもかかわらず、ひと匙の半分くらい入れただけなのに、スープを口に入れると体の芯から熱くなってきて、気付くと汗をかいてきていた。


メインは、ツィガーニペチェニェ(Cigánypecsenye)」 を注文。他のお店でもよく食べているから、違うメニューにすればよかったのかなぁとも思ったのだけど、冒険ができなかった。結果、 
 


ものすごいボリュームでやってきた。豚肉のローストの量もさながら、その下のフライドポテトの量も豪快だったので、さすがに同行した友人に手伝ってもらった。2人でシェアするくらいでちょうどよかったかもしれない。ちなみにこの量で1,950HUF(約800円)。高カロリーとはわかっていながら、脂たっぷりのベーコンとの組み合わせがたまらなく美味しかった。


いっぱい食べたけれど、結局デザートもみんなでシェアすることに。「Kecskeméti lángoló házi túróspite」という「ケチケメートの燃えるパイ」という名前のメニューを注文。写真撮るタイミングを逃してしまったが、サーブされる際に店員さんがガスバーナーで表面を軽く炙ってくれた。桃のソースの甘い香りが、ふわっとテーブルに漂った。

 

パイと言うよりパンケーキに近い厚さで、カッテージチーズのプリンのようなものを合わせてあった。ソースそのものは甘かったのだが、カッテージチーズの淡白な口当たりで全体としてバランスの良い味わいになっていた。


他のメニューを注文していた友人たちも、大満足の様子だった。
ケチケメート(Kecskemét)を訪れる際は、ぜひお勧めしたい名店だ。

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